懐かしの名車をカタログで振り返る・・・旧車カタログコレクション(web版)






トヨタ 1979 ライトエース・ワゴン(M20型)


 1979年にトヨタから発売された2代目ライトエース・ワゴン(M20型)です。初代から大きく変わったわけではありませんが、商用車っぽさがクルマ全体から感じられた初代に比べると、いくぶんかは洗練されたワゴン車に見えないこともありませんね。
 当時はまだ現在のようなミニバン全盛時代ではありませんでしたから、メーカーとしてもワンボックス乗用車の新しい可能性を模索していた時代でした。『ワゴン脚光。』『セダンを捉えた。』『ワゴン万能。』『ワゴンならできる。』『待望、ニュービークル。』・・・ずいぶんインパクトのあるワゴン賛歌のキャッチコピーが並んでいますね。『ワゴン脚光。』のページにも書かれているように、当時は『カーライフそのものが、いま大きく変貌しようとしている。』時代だったようです。現在もクルマ社会が大きく変貌しようとしていますので、結局のところ常に変貌し続けているんですね。
 さて、この2代目ライトエース・ワゴンの大きなセールスポイントはセダンのようにフロアシフト車を設定したことです。まだMTが主流でしたから、どうしてもシフトワークは運転の重要な位置を占めます。コラムシフトだとトラックを運転しているような感覚がしたのは事実ですので、この変更はライトエースに乗用車のイメージを持たせるためにはかなり有用だったと思います。
 この時期、他のワンボックスワゴンもフロアシフトを設定する車種が増えていましたが、その後、ATがほとんどを占めるようになってからはまたコラムシフトに戻っていきましたね。現在ではほぼ例外なくミニバンはコラムシフトかインパネシフトになっています。まあ「シフト」と言ってもATの場合セレクターレバー、つまり電気的なスイッチだけですからどこに付いていてもあまり運転感覚には影響ありませんけどね。最新のメルセデス・ベンツの上級車は知らない人が見たらウインカーのスイッチにしか見えないATレバーです。プリウスのATセレクターレバーも既に「レバー」である必要性がないようなものになっていますから、近い将来、ボタンになるかもしれませんね。
 メーカーがこのライトエース・ワゴンのように「新しいカーライフ」を提案したことが実を結び、現在のようなミニバン全盛の時代がやってきました。軽ミニバンからアルファードのような高級ミニバンまで、おそらく当時提案していた新しいカーライフを多くの方が実現しえたことと思います。さてこれからは?

 先日、知り合いの大工さんがエスティマ・ハイブリットを購入しました。購入理由はスタイルでも走行性能でもなく、「1500Wまで使えるACコンセントがあるから」だそうです。仮設電気が用意できていない現場で作業するときにずいぶん重宝するとのこと。
 新しい技術によって「新しいカーライフ」はまだまだいろいろな形で生まれてきそうですね。

ライトエース・ワゴン・ハイルーフGXL(TM20G型)
全長×全幅×全高 : 3940×1625×1950mm
ホイールベース : 2080mm
車両重量 : 1410kg
エンジン : 直4OHV 1770cc 92PS




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