懐かしの名車をカタログで振り返る・・・旧車カタログコレクション(web版)






三菱 1982 コルディア(A21#型)


 1982年に三菱から発売された初代コルディア(A21#型)です。初代とはいえ、かなりの不人気車だったために一度もモデルチェンジされることなくこの代で消滅しましたので、2代目はありません。姉妹車で4ドアセダンのトレディアとともに、車名に三菱の“菱(dia)”が付けられるほど期待されたのにここまで不人気のまま消滅したこのクルマ、まるでドラフト1位で入団したものの一度も一軍の試合に出ることなく引退していったプロ野球選手のような存在ですね。ちなみに姉妹車のトレディアは“tre(3)+dia(ダイヤ)”という意味だそうですが、車名が“三菱”にも関わらずコルディア以上の不人気車。なんだか同情したくなってしまうほどですね。

 さて、「コルディア」と聞いてすぐにどんなクルマなのかわかる方はよほどのクルマ好きか、三菱関係者か、かつてユーザーだった方ぐらいだと思います。私自身も、このカタログを久しぶりに見るまではすっかり存在を忘れていましたし、このカタログを見ても、そんなクルマがあったような気がするなぁ、ぐらいの印象しかありません。
 ランサーセレステの後継という位置付けだそうですが、当時の三菱ではランサーEXとミラージュが既に確固とした地位を確立していましたし、コルディアが担おうとしたスペシャリティーカーとしては、コルディア発売のすぐ後に強烈な存在感のあるスタリオンが発売され、人々の関心はそちらへ移ってしまいました。
 六大学野球のスター投手が「持っているのは仲間です」という意味の発言をして話題となりましたが、コルディアの場合、消滅時に彼と同じ発言をするとしっくり来そうでなんだか可愛そうですね。

 あらためてカタログをじっくり見てみると、ミラージュで有名になった副変速器付きのスーパーシフトに加えて4WD機構、さらにはターボエンジン搭載と、三菱得意のハイテク満載で実に面白そうなクルマです。個人的にはフランス車っぽいリアのホイールアーチがいまいち似合っていないような気がしないでもありませんが、全体のシルエットはそれほど悪いとは思えません。モデルチェンジを繰り返して煮詰めていけば面白そうなクルマになっていたかもしれないと思えるだけに一代で消滅してしまったのは残念なことですね。

 ミラージュベースのスペシャリティカーといえば、後に登場するFTOも成り立ちが同じでしたね。ということは、仮にモデルチェンジを繰り返してコルディアからFTOへの流れがつながっていたとしても、結局現在は消滅していそうです。スポーツカー冬の時代、寂しいものですね。

コルディア1800・4WD・GSRターボ(A213G型)
全長×全幅×全高 : 4395×1665×1360mm
ホイールベース : 2450mm
車両重量 : 1150kg
エンジン : 直4OHCターボ 1795cc 135PS

(2010年12月30日記)




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