懐かしの名車をカタログで振り返る・・・旧車カタログコレクション(web版)






トヨタ 1983 クラウン・2000シリーズ(S120型)


 1983年にトヨタから発売されたクラウン(S120系)・2000シリーズ、いわゆる“5ナンバークラウン”の専用カタログです。当時は3ナンバーのクラウンと言ってもバンパーが拡大されて寸法が大きくなっていただけですので、この5ナンバー枠に収まっているクラウンを見ても全然違和感は無く、どこからどう見ても“クラウン”してますね。

 さて、このクラウン2000シリーズ、誰が見ても貫禄のある“いつかはクラウンに”のクラウンですが、寸法も排気量も5ナンバー枠に収まっています。駅のタクシー乗り場で客待ちをしているクラウンコンフォートが今見るととても小さく感じられるように、それと同寸法のこのクラウンも、たまに街で見かけるととても小さく感じられます。

 でも当時はとても大きく感じられたんですよね。高級車の代名詞、トヨタのクラウン。いつかはクラウンに!私自身もそう思っていましたから憧れでした。実はこのクラウン、うちにもあったのですが(もちろん親父のです)、中古のポンコツカローラで遊んでいた私にとってはやっぱり“いつかはクラウンに!”の存在でした。

 当時のクラウン2000シリーズの価格帯は230〜300万円程度。クラウンの3リッタークラスでは400万円弱というグレードもありましたので、やっぱり高級車ですね。トヨタではそれより上には570万円のセンチュリーがあるだけでした。

 と、ここでひとつ疑問が湧きました。当時(80年代中頃)って、現在とそれほど物価は変わっていませんよね。大卒初任給は現在のほうが少し多いかもしれませんが、今と違って誰もが就職でき、ボーナスもみんながもらえた時期ですので、可処分所得でいえばおそらくあらゆる年齢層で当時のほうが多かったような気がします。

 物価も収入もあまり変わっていませんが、クルマのラインナップだけは大きく変わりました。現在、プレミオのスペリアパッケージという、当時のクラウンのようなトヨタ流のコテコテ豪華さでまとめられたグレードが270万円で販売されています。車名は異なりますが、車格も性能も、見た目の豪華さも当時のクラウン2000シリーズと同様なクルマはやはり価格も同様です。そして当時はこのレベルが“高級車”でした。

 ところが現在は、このレベルはいわゆる“正統派セダンのボトムレンジ”であり、ちょっとまともな“高級車”となれば、当時のセンチュリークラスの車格、性能、価格になります。マジェスタ、フーガ、レジェンド等はみな当時のセンチュリー、プレジデントと似たようなレベルのクルマになっていますね。つまり“いつかはクラウンに”だったレベルが、車格的にも価格的にもセダンのスタートラインになってしまったんですね。

 天候の影響でしばらくイレギュラーな畑仕事に追われていましたが、コマツナを揃えながらこんなことを考えていました。ずいぶんクルマも高くなったもんだな〜って。個人的には当時のクラウン2000シリーズは車格も性能も十分すぎるレベルだと考えていましたから、マイカーの基準がそのあたりになっています。新型インプレッサのG4なんて素晴らしくカッコいいですね。

 現在開催されている東京モーターショーでは各メーカーがエコと同時に、もう一度人々にクルマの魅力を再発見してもらうような原点回帰というテーマもあるようですが、価格も原点回帰してほしいものですね。やっぱり基本的には200万円がひとつのライン、それ以上は“高級車”でいいと思います。

 新車販売で軽自動車が4割近くを占め、トヨタが軽トラを販売するような時代になったのは、若者のクルマ離れだけではなく、多くの方が自動車メーカーの非常識な高額車販売商法に付き合うのをやめたからじゃないだろうかと個人的には考えています。500万、600万円のクルマなんて、総理大臣や大企業の社長が運転手付きで乗られるクルマだけでいいと思いますよ。

クラウン・4ドアハードトップ・ロイヤルサルーン(GS121型)
全長×全幅×全高 : 4690×1690×1410mm
ホイールベース : 2720mm
車両重量 : 1430kg
エンジン : 直6DOHC 1988cc 160PS

(2011年12月10日記)




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