懐かしの名車をカタログで振り返る・・・旧車カタログコレクション(web版)






トヨタ 1987 スプリンター(E90型)


 1987年にトヨタから発売された6代目スプリンター(E90型)です。姉妹車カローラとともにフルモデルチェンジされましたが、スプリンターのほうが多少メリハリの強い意匠が施され、グレード毎の価格もこちらのほうが微妙に高く設定されていたようですね。当時、このスプリンターの5ドアハッチであるシエロの購入を真剣に考えていたこともあり、個人的には歴代スプリンターの中でも好きなクルマです。

 さて、このスプリンター、『すべてにひとクラス上のクオリティを求めて、いま、新しい高級セダンの誕生です。』、『より優雅に、豪華に、高級に。全身は心地よい贅沢で満たされている。』、『いつまでも愛し続けることのできる、高品質セダンの新しい姿です。』等々の文面から分かるように、キーワードは『高級セダン』です。カローラ/スプリンターといえば大衆車の代表車種ですが、この代はあくまでも『高級セダン』、当然のごとく、当時の高級セダンの証である「下品なエンジ色の内装」も用意されています。

 当時はエンジ色の内装が高級セダンの定番でしたが、現在ではさすがに高級車でもこの色の内装を見ることはほとんどなく、代わりに「木目」が高級車の定番になっていますね。もっとも本物の木目が使われているのは一部の本当の高級車だけで、ほとんどが「木目調プラスチック」、さらに親切なことに、印刷技術が進歩した現在では、その「木目調プラスチック」にもしっかりと序列を付けてくれています。クラウンクラスになると、本物と見分けが付かないほどの「木目調プラスチック」、カローラクラスだとおもちゃの鉄砲のグリップを思わせる「木目調プラスチック」。メーカーもなかなかしたたかですね。

 とはいえ、バブル期に主流だった、銀座の超高級(ぼったくり)クラブのソファーを連想させる「エンジ色の内装」によって高級感を演出するよりも、木が好きな日本人の感性に訴えかける「木目調プラスチック」による演出のほうが好感が持てますね。新型カローラ・アクシオのルグゼールなんてとっても分かりやすい高級感の演出で、あそこまで割り切ってやられるとかえって拍手をしたくなってしまいます。

 そういえばホンダが『高級セダン』2車種を販売終了するとの報道がありましたが、こんな時代ですからそもそも『高級セダン』を欲しがる人がもう少ないんでしょうね。まあホンダの2車種の場合、「こんなの日本で売ってどうすんの?」というようなクルマですから当然の帰結にも思えますが・・・。

 時代はどんどん変化していますが、それに応じて変化する人と頑なに変化しない人がいます。現状維持を主張する人と現状打破を主張する人、いろいろな立場の方がおられますが、それぞれの根底には「経済」というキーワードがあるようです。でもここでいう「経済」とは本来の「経世済民(世をおさめ民をすくう)」という意味での「経済」ではなく「経済成長」の意味だけのような気がします。ほんの一側面のみから「経済」を考えると、歪な社会になってしまうかもしれませんね。現在よく耳にする「経済」が、本当は「経世済民」のほんの一側面だけなんだということを認識して、「経済」とうまく付き合っていきたいものですね。

スプリンター・1500・SEサルーン(AE91型)
全長×全幅×全高 : 4215×1655×1365mm
ホイールベース : 2430mm
車両重量 : 960kg
エンジン : 直4DOHC 1498cc 85PS

(2012年6月17日)




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