懐かしの名車をカタログで振り返る・・・旧車カタログコレクション(web版)






マツダ 1989 ユーノス・ロードスター(NA型)


 1989年にマツダから発売されたユーノス・ロードスター(NA型)です。小型軽量2シーターオープンスポーツカーとして世界中で大ヒットし、ポルシェやBMW等の高級スポーツカーメーカーが後に類似のライトウェイトスポーツを出すきっかけにまでなったクルマです。現在3代目が発売されており、次期ロードスターは思い切ったダウンサイジングがされるという噂もちょくちょく耳にするようになってきましたが、クルマ好きならずともとても気になる存在ですね。

 さて、この初代ロードスター、クルマ自体のインパクト同様、カタログのキャッチコピーも刺激的です。

“だれもが、しあわせになる”、“2人しか乗れないし、バゲッジもそうは積めないし、ひょっとすると、人とは少し違って見えるかもしれないけど、走らせる楽しさは、これがいちばん。”、“このクルマを手に入れるほんの少しの勇気を持てば、きっと、だれもが、しあわせになる。”
 
 すばらしい文章ですね。“しあわせ”というキーワードを広大な車内スペースや豪華なインテリアと結びつけて紹介しているクルマはたくさんありますが、不便な点をわざわざ強調したうえで“だれもが、しあわせになる”と紹介しているのはこのロードスターぐらいだと思います。実際、何度か運転した限りでは、私自身は“しあわせ”になれました。しかしながら私には“このクルマを手に入れるほんの少しの勇気”がなかったので、“しあわせ”を何度か体験しただけでしたが・・・。

 “しあわせ”も人それぞれで、人によってはこのロードスターでは“しあわせ”にはなれないかもしれません。ある人にとっての“しあわせ”はお隣さんよりも大きなクルマに乗ること、またある人にとっては周囲から「おー、すごい!」と思われるクルマに乗ることかもしれません。そのような買い物を『conspicuous consumption(見せびらかしの消費)』と昔の偉い社会学者が言っていたことを急に思い出しましたが、現在の日本ではそちらの“しあわせ”のほうが優勢で、メーカーもそちらの“しあわせ”を実感しやすいような商品展開をしているように感じられますね。

 最近、電力会社や保安院の“やらせ”問題が新聞紙面を賑わわせています。日本を引っ張っていく指導的立場におられる方々にとっては、国中全ての人間が自分達の望む価値観を持っていてくれると助かるからあのような出来事が起きてくるのでしょうが、なんだか悲しい世の中ですね。もしかしたら我々が“しあわせ”と感じる瞬間の何割かは、“しあわせ”と感じさせられているだけで、本当は彼らにとっての“しあわせ”の肥やしでしかないのかもしれません。

 なかなか何を信じてよいのかわからない世の中になってきてしまいましたが、マツダにはぜひ“2人しか乗れないし、荷物も積めないけど、だれもが、しあわせになる!”と言い続けて、ロードスターをずっと造り続けてほしいものです。ロードスターを運転している時は本当に“しあわせ”ですからね。

ユーノス・ロードスター(NA型)
全長×全幅×全高 : 3970×1675×1235mm
ホイールベース : 2265mm
車両重量 : 940kg
エンジン : 直4DOHC 1597cc 120PS

(2011年7月31日記)




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