懐かしの名車をカタログで振り返る・・・旧車カタログコレクション(web版)






日産 1996 ステージア(WGNC34他)


 1996年に日産から発売された初代ステージア(WGNC34型他)です。とってもわかりやすい型式が付けられているように、7代目ローレル(C34型)をベースとしたステーションワゴン(WGN)ですね。ローレルはスカイラインともプラットフォームが同じでしたから、この時期はクーペからステーションワゴンに至るまで、あらゆるボディタイプで直6フィーリングを堪能できた良い時代でしたね。当時、それからほんの数年間で、すっかり直6がV6に置き換えられるなんて想像もしていませんでした。先のことは本当にわからないものですね。

 さて、この初代ステージア、初めてこのクルマを見たときの第一印象は、『日産のボルボ』でした。ボルボというのはもちろんボルボ850エステートのことで、直線的なスタイル、長いリアオーバーハングと垂直に近い角度のお尻が自分の中のボルボのイメージと完全に一致していました。なぜか自分の中では“ボルボのエステートは赤”というイメージがあるので、現在改めてこのカタログを見ても、赤のステージアはボルボに見えてしまいます。

 ところで、6気筒といえば、とあるドイツの高級車メーカーの代名詞で、「シルキーシックス」という言葉まで生まれているぐらいに、その滑らかさが特徴とされていますが、実際のところ、4気筒と6気筒の違いというのは、一般的にいかほどのものかという疑問が出てきますね。

 あくまでも個人的な感覚ですが、4気筒と6気筒の違いって、確かにありますね。最近の4気筒のエンジンはとてもスムーズで特に気になる振動があるわけではありませんが、やはり6気筒のエンジンとの差は感じます。

 ちょっと話が飛びますがご了承を。私はスポーツマンでもなんでもありませんが、子供の頃、縄跳びだけは得意でした。二重跳びも三重跳びも、何回跳べるというレベルではなく、どちらも体力が続く限り跳べるというレベルでした。縄跳びって、運動神経よりもリズムの問題で、二重跳びは一度跳び上がる間に「トン、トン」と二回縄を回す、三重跳びは「トン、トン、トン」と三回縄を回す、それだけの違いなんですよね。

 体育の時間に活躍することなど滅多にない私でしたが、縄跳びの時間だけは模範演技をクラスのみんなの前でしていました。当然三重跳びは二重跳びよりも短時間で高く跳びあがりますので、端から見ていると、三重跳びをしている私は卵の殻に入っているようだと言われた記憶があります。縄が卵の殻に見えるぐらい滑らかに残像を残していたんでしょうね。

 話をクルマに戻します。直6エンジンの場合、エンジンの軸が1回転する間にどこかの気筒で3回の爆発が起こります。直4エンジンの場合はその爆発が2回です。ちょっと縄跳びの例えは適切ではなかったのかもしれませんが、二重跳び、三重跳び、ともにできる方にはこの例えの意味がわかっていただけることと思います。「トン、トン」と「トン、トン、トン」、縄の軌跡の見え方(滑らかさ)はまったく違いますからね。

 直6の魅力はさておき、このステージア、カタログでも紹介されているように、“ゾーンボディコンセプト”なる概念の元、前後のオーバーハングをかなり多めに取ってあり、全長4.8mという大柄な車体をまとっています。昔、私の知人がこのステージアの後部に突っ込み、亡くなられました。幸いなことにステージアに乗られていた方は“ゾーンボディコンセプト”のクラッシャブルゾーンのおかげで無傷でした。

 ステージアの異様に長いリアオーバーハングを見るたびに、その事故を思い出すと同時に、最近のコンパクトカーに毛が生えた程度の車体に3列シートを詰め込んだクルマの安全性に疑問を感じてしまいます。3列目に乗り、ちょっと後ろを振り返ったら額がリアウインドウに当たってしまうクルマって、販売して良いのでしょうかね?どこもかしこもリストラ、リストラ、残った社員は激務を強いられ半ば居眠り運転での営業活動が常態化、こんな時代においては、前方のクラッシャブルゾーンよりも、後方のクラッシャブルゾーンを確保したほうがよいと思うんですがね、例えば、このステージアのように。

ステージア・25X(WGC34型)
全長×全幅×全高 : 4800×1755×1490mm
ホイールベース : 2720mm
車両重量 : 1470kg

(2012年8月12日)




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